職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第12回
「自閉というぼくの世界」 なおき 作・エスコアール
なおき 作、井村禮子・絵/エスコアール/定価 本体1600円+税

公益社団法人発達協会 療育部 饗庭典子(保育士)

私がこの本に出会ったのは、療育の仕事に就いて間もない頃でした。知的障害、発達障害というものについて勉強してきたつもりでも、毎日目の前にやってくる子供たち青年たちの様子に考えるよりも動きながら指導を模索しているのが精いっぱいの毎日でした。

そんな時、この本のタイトルがなぜか気になり開いてみると、やわらかい絵の中に、なおきくんの素直でまっすぐな言葉が並んでいました。どんなに偉い大学の先生が書いた教科書よりもずっとわかりやすい、そして納得できるその文章からは、就職したてで右も左もわからない当時の私に「難しく考えないで!僕たちにいろんなことを教えて!」というメッセージをくれました。あれから10数年、、、時々この本を読み返すと、余計なことを考えずに、素直に目の前の子どもたちと向き合おうと思わせてくれます。

近年、合理的配慮という考え方も登場し、我々が担う責任、役割というものがより具体的に求められています。教育現場だけに限らず、学校卒業後もそれは続くのです。この本には、子どもから青年たち、発達障害をもつみんなからのメッセージが込められているように感じます。発達障害を持つ人たちに関わるとき、ぜひ広い視野と柔軟な考え方をもってこの本の言葉たちに触れ、彼らが何を考え必要としているのかを知るきっかけにしてほしい1冊です。




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