職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第13回
「子どもの気持ちを知る絵本3 発達凸凹なボクの世界-感覚過敏を探検する-」
プルスアルハ[<お話と絵>細尾ちあき/<解説>北野陽子]著/ゆまに書房
/定価 本体1800円+税

公益社団法人発達協会 王子クリニック 鈴木さやか(言語聴覚士)

発達に凸凹のある子達の中には、「感覚過敏」を持っている子も多くいます。この絵本の中に出てくる主人公の男の子は「感覚過敏」を持っています。主人公は「感覚過敏」によって、クラスのみんながしていることを、クラスのみんなと同じようにはできません。すると大人から“我慢が足りない”“努力が足りない”と叱られることが多くなり、自己肯定感が下がってしまいます…。

そもそも「感覚」は人によって感じ方、感じる強さは様々であり、その「感覚」が「過敏」な子どもたちは実際どのように感じているのか、とても分かりにくいものです。自分の感じていることを、ことばで表現するのが難しい場合も沢山あるでしょう。

この絵本の巻末では「感覚過敏」について、イラストも交えながらお子さんにも分かりやすく説明されており、対処法のヒント例も紹介されています。この本の主人公と同じように「感覚過敏」で困っているお子さん自身がこの本を通して、本当に感じていること、困っていることに新たに気づき、周りの大人に伝える機会作りにもなるでしょう。また、その子の持っている「感覚過敏」を周りの大人も正しく理解し、その子に合った対処法を見つけていくことで、主人公と同じように“ボクは(わたしは)ダメな子ではない”という安心感、周りの大人への信頼感をもたらしてくれることでしょう。感覚過敏を持っているお子さん自身とそのお子さんと関わるすべての方に読んでいただきたい1冊です。




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