職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第16回
「自閉症の僕が跳びはねる理由」
著者/編集:東田直樹/発行元:エスコアール/定価 本体1,600円+税


公益社団法人 発達協会 王子クリニック 山下征己 (言語聴覚士)

自閉症の人の思っていることがわかれば、彼等をもっと理解できるのに・・・と考えている時に出合った本です。会話のできない重度の自閉症でありながら、パソコンを使うことによりコミュニケーションが可能な東田直樹さんが13歳の時に執筆しました。会話のできない自閉症の人が、理解しにくい自閉症の内面について述べていることへの反響は大きく、28か国30言語に翻訳され、世界的ベストセラーとなっています。

「言葉」「対人関係」「感覚の違い」「興味・関心」「活動」の全5章となっています。「どうして上手く会話できないのですか?」「どうして目を見て話さないのですか?」「跳びはねるのはなぜですか?」など、普段自閉症の人とかかわる中での言語や行動についての疑問や、「自閉症の人は普通になりたいですか?」「自閉症についてどう思いますか?」といった自閉症の人でなければ答えられないような疑問など、58項目の疑問に東田さんが答える形となっています。

東田さんは、「僕たちは自閉症でいることが普通なので、普通がどんなものか本当はわかっていません」と述べていますが、読み進めていくと、自閉症と普通の人のどちらの意見も比較検討していることが伺えます。私たちも、これくらい自閉症のことをわかろうと努力する必要があると考えさせられます。自閉症を知らない人にも、知ってもらうきっかけになるおすすめの1冊です。




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