職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第20回

「教育と保育のための発達診断」

白石正久/白石恵理子【編】/全国障害者問題研究会出版部

定価(本体2,800円+税)


公益社団法人 発達協会 神谷療育室 村田純一(社会福祉士)

この本は筆者が大学時代、子どもの発達を勉強するためにどの本を読めばよいか迷っていた時に、先輩から勧められた1冊です。発達診断とは、発達の度合いについて、質的に分析する過程を意味します。

前半では乳児期から学童期までの発達の特徴やチェックの仕方、指導の方針が解説されています。後半では、青年期における支援の事例や、検診・発達相談の役割、大人と子どもとの関係性、発達障害の理解の仕方についてが、述べられています。

特に参考になったのは、発達検査の結果に現れるような各年代における運動・認知・言語・社会性などの領域における特徴だけでなく、なぜその時期にその様子がみられるようになるのかといった発達の背景を分析するポイントが丁寧に解説されている点です。まさに「発達診断」の過程が述べられています。また、子どもと大人のやりとりや子どもの様子が豊富な事例を用いて説明されているので、実際の関わりの様子を想像しながら読めました。

そしてこの本の編者で、龍谷大学教授の白石正久先生は、発達と障害の理解について、「全体的に子どもを把握すること、背景にある原動力や矛盾・葛藤を把握すること、そして子どもが他者とともに成長しようとしているのを見落とさないこと」が基本であると述べています。この視点は、本を見返すたびに筆者自身の臨床を振り返るきっかけにもなっています。

発達の特徴について学ぼうとしたら、「発達とは何か」についても考えさせられました。ぜひ読んでみてください。




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