第32回
『アナログゲーム療育 コミュニケーション力を育てるー幼児期から学齢期まで』
(松本太一/著 ぶどう社/出版 定価/本体2,000円+税)
公益社団法人 発達協会 王子クリニック 飯田祐美(言語聴覚士)
アナログゲームとはカードゲームやボードゲームなどのコンピューターを使わないゲームのことです。最近では、大人の間でも注目され、子どもから大人まで楽しめる遊びの1つだと思います。
本書で『アナログゲーム療育の目的は、お子さんに「実社会で必要とされる実践的なコミュニケーション力」を身につけてもらうことにあります。』と著者である松本先生が書かれています。このことばは、「自分は日頃の指導で子どもたちに実践的なコミュニケーション力をつけるための経験をさせてあげられているのだろうか」と考えるきっかけとなりました。失敗が嫌で課題に拒否を示す子たち、ソーシャルスキルのプリント課題では、満点の答えを言えるけど日常生活でトラブルを起こす子たち、色々な子たちを思い出しながら読み進めました。
本書は、心理学者ピアジェの認知発達論に沿って具体的な教材・ポイントが丁寧に書かれているので、すぐにでもやってみたいと思える内容が満載です。また、ゲームの選び方、指導形態など指導者が悩む点の対応についても書いてあります。
スマホやインターネットの普及で、子どもたちをとりまく環境も大きく変化してきました。ネットゲームや動画だけではなく、タブレットを使用した学習、オンライン授業といった取り組みが進みつつあり、デジタル化の社会は子ども達にとっても切り離せないものとなっています。しかし、デジタルにはない、アナログの良さがあります。そんなアナログの良さを改めて感じることができる1冊です。
職員の読書日記一覧のページへ