第34回
発達障害の女の子のお母さんが,早めに知っておきたい「47のルール」
藤原美保/著 エッセンシャル出版社 定価(本体1,500円+税)
公益社団法人 発達協会 療育部 長田真歩(作業療法士)
一般的に発達障害の男女比率は「男の子が8割,女の子が2割」と言われています.女の子はおしゃべりな子でも静かな子でも,周りに迷惑をかけるのではなく自分自身が周りの子と合わせられず困っているケースが多いようです.本著は,前半に発達障害と診断されるメリットや,親は子どもに対してどのように関わるのが良いか,学校選びについて何に着目すると良いか,男女ともに共通する内容のことが書かれています.後半には発達障害の女の子を思春期においてどのように育てていくのが良いか,交際・結婚・出産についてのヒントが書かれています.
著者は名古屋市内で女の子にターゲットを絞った放課後等デイサービスを運営している方です.発達障害の性差についての問題意識を持っていない人が多いと感じているそうです.私自身もこの本に出会い,男の子と違い,スカートを履く,髪を結わく等の女の子特有の身だしなみや人間関係について考えるようになりました.
読んでいて共感したのは〈「友達」ではなく「仲間」を作ること〉についてです.女の子に限らず,発達障害のお子さんのトラブルのきっかけになる「友達」.「友達」というのは,お互いに対して意識や関心のベクトルが向く関係です.「仲間」というのは,意識を相手に向けるのではなく「目的」とする何かに対して,それぞれベクトルを向けます.「仲間」であれば,仲介者がいることで集団がまとまりやすくなります.
女の子の親御さんには勿論,指導をしている方に是非読んでいただきたい1冊です.
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