第36回
発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ
shizu/著 平岩 幹男/監修 講談社/出版社 定価(本体1400円+税)
公益社団法人 発達協会 療育部 鷲山杏奈(言語聴覚士)
普段、子ども達と接しているときに“もう少し良い声掛けが出来たら、子どもが分かりやすく行動することができたのではないのか。”と考えることがあります。また、保護者の方からも「子ども達が出来ないことに対して、どうしても怒ってしまうことが多く、接し方について悩んでいる。」と相談を受けることがあります。そんな悩みの解決策を導いてくれるのが、著書です。
著者の1人であるShizuさんには、高機能自閉症の息子さんがいます。ご自身の経験から、日常生活の中で子どもの言葉の能力を「ながら的に」楽しく伸ばす方法を見つけました。
それは、ABA(Applied Behavior Analysis:応用行動分析)です。
ABAとは、行動する前と後に、効果的な工夫をすることで社会生活上の問題を解決していこうという学問と実践です。
例えば、子どもが出来たことには、「すごい!」「マル!」などの褒める声掛けを沢山して、良い行動を“強化”します。この評価方法は、普段、私達の療育でも取り入れており、初めは無反応だったお子さんも徐々に出来たことに気づき、分かるようになってきます。
著書には、この様に褒める時や騒ぎに対しての声掛け・対応の仕方がなど、多くの例を元に、沢山の魔法のことばが記載されています。基礎的なポイントから解説しており、実践に繋がるように段階的に書いてあるので、とても分かりやすいです。
子ども達と前向きに関わっていくきっかけとなるおすすめの1冊です。
職員の読書日記一覧のページへ