職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第39回

「自閉症は津軽弁を話さない−自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く」

松本敏治/著 福村出版/出版社  定価:1,980円(10%税込)


公益社団法人発達協会 療育部 宮野真貴(言語聴覚士)

私は青森県で生まれ育ち、大学時代は広島県で過ごしました。そして今、東京で療育の仕事をしています。津軽弁・広島弁・共通語の3つをコミュニケーションのツールとして使ってきた私にとって、“自閉症は津軽弁を話さない”というタイトルはとても興味をひくものでした。

本書は自閉症と方言の研究を踏まえて、自閉症の子・人のコミュニケーションについて、「意図」というキーワードでまとめられています。「意図」とは、「目標のために、未来を志向してプランを立て、調整するといった心の動き」です。例えば、私たちは瓶のふたをつかんで力を入れている人を見ると、瓶のふたをあけよう、という「意図」があると読み取れます。しかし自閉症の子・人はその「意図」を読み取ることが苦手です。その結果生じる彼ら独特のコミュニケーションや、定型発達の子どもとは違った言語学習について、事例とともに書かれています。

なぜ自閉症の子・人と「どうぞ」「ありがとう」という簡単なやり取りを成立させるのが難しいのか、なぜ自閉症児の子・人に何か伝える時は「〇〇しましょう」ではなく「〇〇です」「〇〇します」とですます調で伝えるのか。療育をする中であたりまえになっていたことの理由が、「意図」というキーワードから知ることができました。自閉症児の子・人が、私たちにとっては当たり前のコミュニケーションをとるのが難しい理由が分かる一冊です。




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