職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第40回

「自閉症・アスペルガー症候群「自分のこと」のおしえ方
                   ―診断説明・告知マニュアルー」

吉田友子/著 学研/出版社  定価:1,650円(10%税込)


公益社団法人 発達協会 王子クリニック 飯田祐美 (言語聴覚士)

子どもと関わる際に「僕は自閉症なの?」と突然質問をされたら、どう答えますか。「私が説明して良いものなのか」「どうやって言ったら良いのか」色々な考えが頭の中をよぎるかもしれません。子どもは大人が思う以上に自分について理解が進んでいるように思います。指導の際、診断名を子どもから直接尋ねられたことはありませんが、「自分がなぜ訓練を受けるのか質問されました。」と保護者の方からお話を伺うことは多くあります。周囲の大人は、診断名を子どもにいつ尋ねられても良いように準備をしておく必要があると思います。

著者である吉田先生は本書において、「診断名には気づいていなくても、大人が何かを伏せていることに気づいている子は多いものです。大人が隠さなければいけないような何かが自分にはあるという認識は自分には何か悪いものがあるという否定的自己像につながりやすいものです。診断説明によって自己の存在に関わる秘密がなくなることで、こうした危機を回避できます。」と書かれています。

本書では、「診断説明」をゴールとせず支援の一つのステップとして捉え、「診断説明をいつ、誰がするのか」、「具体的な手順」、「説明後の支援」など一連の流れやポイントが具体的に説明されています。「診断説明」の方法だけではなく、「自分とは何か」を子どもたちが自分自身と向き合い理解し、成長していくために周囲の大人たちがどのように関わっていけば良いのかも知ることができる1冊です。




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