職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第1回
「子どもの集中力を育てる」
齋藤孝 著/文藝春秋/1,000円

(社)発達協会 赤羽指導室 溝江 哉(精神保健福祉士)
 私は日頃AD/HDやアスペルガー症候群のお子さんたちの指導にあたっています。お子さんに初めて会うと、好きなことにはとても集中できるのに、苦手なことになると全くといっていいほど"アンテナ"が立たない、集中にむらがあることを強く感じます。お母さんからも、「集中すればできることが多いのですが、とにかく集中ができないんです。」と相談されることが多くあります。
 この本は明治大学の齋藤孝先生がご自身の私塾で行ってらっしゃる実践をまとめられた本です。発達障害のお子さん向けに書かれているものではなく、子ども全般に向けて書かれています。
結論としては、からだに「学ぶ構え」ができているかどうかが、集中力を決定するそうです。「学ぶ構え」とは、難しいことや苦しいと思うことにでもまずは積極的に取り組んでみようという姿勢のことで、齋藤先生は「積極的受動性」とよんでいます。これを育てるためには、子どもに任せておくだけではなく、大人がきちんと緊張感のある場をつくっていく必要があると書かれています。この考えをもとに、からだ作りの実践的なプログラムの紹介、からだづくり、特に腰と肚(はら) を安定させ、子どもにしっかりとした中心感覚を育てることの重要性、さらにそれを実践しているある幼稚園の紹介という構成になっています。
集中力を高めるためのプログラムとしては、四股踏みや肩入れ(四股立ちで膝を押し広げるようにしながら肩を内側に入れる)といった体を動かすものや、音読ゲームなどすぐに実践できるものがたくさん挙げられています。実際に音読ゲームを指導の場面でAD/HDのお子さんと行ってみました。小学校1年生程度の国語の教科書に載っているような読み物を、句読点毎に区切って順番に読むというルールです。先走って読んだり、集中が切れると友だちの読むところを読んだり、読み飛ばしてしまったり・・・。大人でも気が散ると、うっかり読み飛ばしそうになってしまい、いかに集中力を求められるかがわかりました。
齋藤先生が提案されていたプログラムは、集中力を高めるだけでなく、他人と一緒に体を動かしたり、課題に取り組んだりすることで、他人との距離の取り方やコミュニケーションの力を高めることにもつながります。AD/HDのように注意集中に弱さをもつお子さんにはもちろんのこと、お子さん全般に使えるプログラムが満載で参考になる一冊です。




本書の中で齋藤先生は、かつての日本人が備えていた伝統文化を<腰肚(こしはら)文化>と表現しています。しっかりした中心感覚を作るためには、腰肚を基盤とすることと書かれてきます。詳しくは本書でお読みください。


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