発達協会からのお知らせを掲載するページです
2017年1月20日(金)
事務局通信1月号

☆仕事がない

ある県の就労継続支援B型(昔の作業所のイメージです)の施設ですが、利用者が半日で帰されるそうです。その理由は、仕事がないからといいます。作業所の数が、急速に拡大していた頃には、作業の確保が大変と聞いたことがあります。しかし、何とか作業を確保してきました。

地方の作業確保は、根本的な問題を抱えているようです。たとえば、作業所の近くに大きな工場があれば、いろいろな仕事が生まれる可能性があります。ところが、産業構造に変化があれば、地方の工場は撤退することがあります。そのことによって、供給されていた作業がなくなってしまいます。

 

☆減る住民数

数年前に、人口の減少により衰退するであろう市区町村が発表され、話題となりました。この発表を受けて、各自治体はさまざまな工夫を凝らしているそうですが、日本の国力全体を衰退化させかねない状況です。

住民が減れば、商業活動は縮小します。多くの作業所で、日用品や食べ物を作っています。住民数の減少は、購買力の衰退につながります。このために作業量も減ります。

このほかにも、広がる高齢化や、商業の継承がなされないことによる、

シャッター閉鎖の商店街など、多様な問題があります。今後、就労継続B型やA型が、作業所として存続するには、いろいろな課題を乗り越えてなくてはいけません。

 

☆ヒントをもらえるフォーラム

そのような課題を解決し、現状を変えられそうな集まりに参加しました。その集まりとは、「就労支援フォーラムNIPPON2016」です。開催案内に書かれた文章を引用します。

「良い就労支援って、なんだろう?・・・全国各地のカラフルな実践にふれ、経営のエキスパートによる分析や健勝に学び、領域・分野ごとにディープな議論を深め、職種や枠組みを越えてオープンに語り合い、良い就労支援について徹底的に考える」とありますが、テーマと内容は多彩です。分科会形式で、発表されます。

 理論や行政説明ではなく、実際に実践している人たちが、いろいろな意見を交わしていく、それもとても身近に感じられる話でした。幾つかテーマタイトルを紹介します。

○障害のある人を人財として活かす雇用管理

○農福連携の可能性を知り成果をあげるために

○かならずできる全国平均工賃30000円!~実践編

主催は、精神障害関係の団体ですが、知的障害や発達障害の関係者も多数参加しています。各施設での実践やアイデア商品などが紹介されているポスター発表は参考になります。

2日にわたる開催に、全国各地から新宿に集まった参加者数は1400名。会場の関係で、断らざるを得ないほどの盛況でした。若い人たちの参加も多くて、また熱気も感じられ、就労支援におけるさまざまな課題を乗り越えていけるのではないかと感じました。来年も開かれますが、心強いフォーラムでした。


                                                 発達教育1月号より


2016年12月6日(火)
事務局通信12月号

☆兄弟法人「さざんかの会」のこと

月刊誌「発達教育」は、公益社団法人発達協会で出版しています。発達協会は、以前は「作業所」を運営していました。スタートしたのは1998年です。その後、法律の改正があり、作業所は社会福祉法人「さざんかの会」として独立しました。さざんかの会は地域での福祉をめざし、現在2ヵ所の作業所を運営しています。

発達協会が運営している王子クリニックには、1990年代なかばより、知的障害を伴わない「落ちつきのない子ども」や「社会性に問題を抱える子ども」が受診するようになりました。幼児だった子どもも、20年余が経ち青年へと成長しました。知的障害がないので、ほとんどが高校や専門学校、大学へと進学します。ただ、自分で就職活動できる人ばかりではなく、就職の手助けが必要な場合があります。

そこで、さざんかの会で「就労移行支援事業」を行うことになりました。これまで、3年余で20人あまりの青年たちを就職させ、現在も定着指導を行っています。

 

☆グループホームの開設

 さざんかの会では、今秋あらたに「グループホーム」を開設することになりました。「ファミーレららら」と名付けました。発達協会の坂爪一幸理事長は、「ららら」と聞いて、鉄腕アトムの歌詞を連想されたそうです。明るく元気というイメージとも話されました。

 

☆明るく元気な生活を作る

 さざんかの会関係者の願いもまさにそこにあります。明るく元気な生活を作っていくことが目標です。その実現のために、さざんかの会、発達協会の職員が手を合わせて進めていく予定です。

 

☆地方と「障+福」連携

 ひと月に一度ほどは、地方を訪れています。そのなかで、「障農連携」ということばを聞きました。いま日本の農業従事者の平均年齢は、64歳(平成27年調査)ということです。年々、平均年齢が上がっているともされています。農業をどうやって絶やさないようにするか、これは日本の大問題です。その大問題に対して、障害のある人の労働力が注目されています。地方の作業所では、地場産業の衰退とともに、受注してきた作業そのものが減少しているという問題もあるそうです。障農連携が、食の確保に大きな力を発揮することを願っています。

 

☆「障+福」連携という考え方

 障害のある人が参加しだしたのは、農業ばかりではありません。福祉の世界における、人材確保の問題は多くの人々が知るところになりました。

保育士ばかりではなく、高齢者や障害者のための福祉施設も同じで、働く人の確保が重要な課題となっています。このために、まずは高齢の方たちでも気力、体力に応じて施設で働いてもらうのが当たり前になってきました。障害のある人も、働き手として期待されています。「ららら」でも、障害のある人の働く場所として生かせないかと考えています。


                                                  発達教育12月号より



2016年11月1日(火)
事務局通信11月号

☆もう繰り返させない

 10月9日、北(ほく)トピアで「もう繰り返させない・・・相模原事件からの出発」という緊急シンポジウムを開きました。告知期間が2週間ほどしかありませんでしたが、100名近くの方々にお集まりいただきました。この事件への、関心の高さを感じました。

 相模原事件を報道で知ったとき、現実のこととは思えませんでした。この事件をどう理解していいのか、さらにはどう対応していいのかがわからず、茫然自失のような状態になりました。このような感想を、複数の関係者からも聞きました。

無力感にとらわれていたころ、ネット上でこの事件に対して、共感や賛意を示す声が上がっていることを知りました。また元都知事が、この事件を肯定するような発言をしました。沈黙していると、事件を肯定していると思われることにもなりかねません。それで、「相模原事件を認めない」という目的でシンポジウムを開催することになりました。

お二人のシンポジストは、深い洞察力で事件を分析、説明されました。また、加害者を一方的に非難するのではなく再発防止のための視点を提供されました。ここでは、先生たちの全ての多様な見方を紹介することは出来ません。ポイントを絞り、紹介します。

 

☆熊谷先生;障害者問題の歴史を逆行させてはいけない

○依存先を増やす

 小児科医の熊谷晋一郎先生は、「リハビリの夜」の著者としても著名です。先生自身には脳性まひがあり、車いす生活を送っておられます。現在は東大で准教授を勤められてもいます。先生の当事者研究は、重要な視点を私たちに教えてくれます。そのなかで、障害のある人や家族が、「依存先(相談相手や助けてくれる人などのこと)を増やす」のが大切という話にハッとさせられました。たとえば依存先が一つになれば、強い支配構造が生まれる可能性があります。そうなれば、障害のある人は相手に従わざるを得なくなります。

そうならないように、学校や園、地域、専門機関、友人、知人など、依存先を増やす努力が必要となります。

 

☆田中先生;何が凶行の引き金になったのか・・・再発を防止するために

○ビーイングという視点

 田中先生は、児童精神科医で、現在は都立小児総合医療センターの副院長です。

 先生は、ビーイングという視点を提供されました。ビーイングとは、自分の存在という意味です。その存在自体が、認められないと、人はとても不安定になるとのことでした。

また、「ableism」ということばも紹介されました。「able」は~ができるという意味ですが、「ableism」は「障害者差別」の意味になるそうです。今の社会では「できるか、できないか」という視点で人を評価しがちです。その見方が、今回の事件の背景にあるという指摘は、非常に納得できるものでした。

お二人の先生には、急な依頼にもかかわらずお話をいただき、改めてお礼申し上げます。


                                                  発達教育11月号より



事務局通信10月号

☆意見を言う大切さ

 多くの人たちは、あまりの出来事に茫然自失の状態だったのではないかと思います。衝撃が強すぎてことばを失ったような状態です。

 ただ、相模原事件に悲嘆し沈黙していれば、事件そのものが肯定されてしまうような恐れがあります。

 ある雑誌の特集では、ナチスによる障害者の虐殺事件として知られる「T4作戦」が取り上げられていました。このT4作戦により、障害者は「灰色のバス」に乗せられて、ガス室に送られました。

ルーマニアのチャウチェスク政権下で行われた、施設での障害児に対する非道な扱いは、映像となって世界で報道されました。子どもたちは裸で、清潔にも栄養にも配慮されず、体罰におびえながら暮らしていました。報道後、ルーマニアの障害児施設には、アメリカを中心とする支援が行われ改善されたということです。

 ただ忘れてはならないのは、この悲劇はたった三十年前の出来事だということです。

もしも、アメリカでのニュース報道が無かったら、チャウチェスク政権がほろびた今も、子どもたちは放置されていた可能性があります。報道された映像の中には、近隣の人々の子どもたちへの無関心な姿が映し出されていました。そして今もなお、このような扱いを受けている子どもたちが世界に存在すると考えられています。

 

☆悲惨な歴史を忘れさせない決意

 親の会の国際的な組織に、「世界育成会連盟(インクルージョン・インターナショナル)」があります。四年に一度世界会議が開かれますが、オランダのハーグやベルリンで開かれた会場には、ナチスの犯罪が展示され、糾弾されていました。忘れることなく糾弾し続けないと、再度悲惨な目に会うという恐れの存在を感じました。「無言は無関心と同意語」ということばを思い出します。

 

☆人としてのこれまで、これから

 精神科医、心理学者、社会学者など、専門家からの論説はさらに広がっていくでしょう。

それらから学ぶ必要がありますが、一つの懸念があります。それは犯人が、百五十名とされる施設利用者の一人ひとりの人生にどれだけ触れていたかという点です。

自分が担当していた一人ひとりの人が、どういう家族のなかに暮し、どういう思いを抱きながら生きてきたのか。本人の好きなこと、苦手なこと、行きたい場所、欲しいものなど、個人に関することをどれだけ理解していたか。

 一人ひとりの障害の内容や程度、さらには自立に向けての関わり方などを学び、工夫していたのか。犯人の頭の中にあるのは、人数だけであり、一人ひとりを理解し、支援しようという気持ちが感じられません。

 個人史を知る、そのなかで深く人として理解する機会が少なかったのではないかと危惧します。施設には、個々人への理解を深めるための工夫が不可欠と思います。

「二度と繰り返させない」との決意を持ち、人として関わっていかなければならないと思います。


                                                  発達教育10月号より



2016年9月16日(火)
事務局通信9月号

相模原市の福祉施設で亡くなられた方々、およびご家族に謹んで哀悼の意を表します。いまなお、治療中の方々の一日も早い回復を心から祈っています。

公益社団法人 発達協会

 
 マスコミ報道の真偽が不明で、今後の捜査などによる事実の解明が待たれます。解明された事実から、このような事件が二度と起こらないような対応策を、早急に取っていく必要があります。

 
 あわせて、容疑者が犯行にいたった経緯、理由についての解明も必要です。精神病理、違法薬物、教育、心理、福祉などの専門家による学際的、総合的な分析が求められています。その分析結果を元に、再発防止策をとるべきです。

 
 多くの人たちと同じに、特に問題と感じるのは、狂信的ともいえる障害のある人へのとらえ方です。あるいは、生命に対する偏った、唯我独尊的な見方です。

本来ならば、施設で働くなかで障害観、生命観を深く学び、障害のある人たちのよき理解者、よき守り手とならなければならないはずでした。しかし彼は、多くの人たちを自らの手で殺めてしまいました。
 彼は、殺めた人たちへの謝罪はなく(7月末現在)、事件後も自分の考え方の正当性を確信しているかのようです。

 
 本来ならば、頭の中でAという考えが浮かんだときに、それとは別にBという見方も出てくるものです。今回の事件でいえば、「殺める=A」

「殺めてはいけない=B」となります。人は、頭の中でAやBや、あるいは他の幾つもの考え方を思案します。思案の結果、適切な答えを選択し、それをもとに話したり、行動したりします。

 狂信的と述べましたが、一つの考え方しか受け付けない状態は、頭の中であれこれ考えることができない姿といえます。

 

 実行の前に、犯行をまわりの知人たちに話したと報道されています。本人の言い方、雰囲気にもよるでしょうが、まわりに「意見する」知り合いはいなかったのかと思います。話を聞いた知り合いは、「ドン引きした」で終わったのかもしれません。もしも意見されていれば、かたくなな考え方も変化したかもしれません。

 

 臨床の場では、自分の考え方を変えられない青年たちと出会います。本人の考え方のおかしさ、偏りを指摘しても、変えることができません。しかし、そんな青年たちと年単位で関わっていると、人の意見を取り入れて、考え方が変化しているのがわかったりします。その場で有効な議論はできないけれども、人の意見は完全無視ではありません。青年には、意見する人が必要です。

 

 驚くのは、違法薬物の入手の簡単さです。脱法ドラッグ等も含めて、今回の事件には薬物の影響があるでしょう。薬物取締りについては、早急な対策が望まれます。


                                                  発達教育9月号より



2016年8月16日(火)
事務局通信8月号

☆投票する

 18歳になると、選挙で投票できるようになりました。高校3年生のなかには18歳になる生徒もいて、選挙に行けるようになります。特別支援学校の高等部に在籍する3年生のなかにも、投票ができる生徒がでます。

 選挙と言われても、とまどう生徒がいます。特別支援学校では模擬的に投票所を作り、投票の練習をするところもあるそうです。

 

☆特別支援教育と主権者教育

 特別支援教育の現場で、「主権者教育」を模索しながら行っている学校もあります。「主権者教育」とは耳慣れないことばですが、「生徒が候補者を選び投票できるように教育する」というものです。

 言うまでもなく「主権者教育」は知的障害のある生徒にとってわかりやすい内容ではありません。特に、生徒たちは何かを選ぶという経験が不足している可能性があります。というのも、子どもたちは生きていく過程で何ごともまわりのお膳立てに従って行動しがちだからです。

 

☆選ぶ練習

選ぶ経験が少ない生徒。そこで「主権者教育」では、具体的な内容として選ぶ練習があげられています。

○着る洋服を選ぶ

○外食で食べたいものを選ぶ

○好きなおもちゃを選ぶ

日常生活で「自分で選ばせる」ことが、投票行動へとつながるのではないかと考えられています。

 

☆理由の重要性

 自分で選ぶという経験は重要です。それとともに、「理由表現」も忘れてはいけない、と思います。

たとえば、私たちが候補者などを選び投票する際には、何らかの判断基準があるはずです。その基準がなければ、見比べ、比較して選ぶのではなく、ただ単に目に入ったから選んだということになります。

 たとえば、3、4歳の女の子が、いくつかの靴下から一つを選んだとします。その子に「どうして選んだの?」と聞けば「かわいいから」と答えたりします。選ぶ際には、なんらかの理由、判断基準が必要となります。

 子どもたちが、自分から選んだ理由を言うことはまずありません。たとえば外食で、自分の好きなものを選ばせ、その選んだ理由を聞きます。理由が言えないときには、二者択一形式で「○○だから」「□□だから」と二つを提示し選ばせます。こういう体験が、のちのちの選挙で選ぶ力につながっていくはずです。

 

☆国民としての権利

 成年後見を利用していると、選挙できないという制度は、当たり前のことですが改正されました。裁判の発端になった女性は、選挙を楽しみにしていたのに、成年後見を利用したら投票できなくなりました。選挙制度そのものは、抽象的でわかりづらいでしょうが、日本人としての重要な権利であり行使すべきものです。

なお字が書けない、縦書きは無理など、多様な人たちへのさまざまな合理的配慮が求められてもいます。

                                                  発達教育8月号より



2016年7月19日(火)
来週から実践セミナーがはじまります・・・昼食のお店について。

会場は、例年と同様のTFTビル東館9階です。

講義の合間に一息、ついていただく昼食のお店ですが、

2階(一部、1階)にレストラン、ファーストフード、コンビニがあります。

そのほか、近隣のビル・ホテルにもレストラン等のお店が入っています。



お申し込みもまだまだ受け付けておりますので、

ご検討よろしくお願いいたします。

*マップ内のA~Dが、9階へ上がるエレベータです。





2016年7月3日(日)
事務局通信7月号

☆職場で人から笑われる

 一般の会社で働くKくん。自閉的な彼とは、幼児期からの付き合いです。彼とは、2ケ月に一度ほど会っています。彼は会うときに、日々の中で自分が感じた疑問などを話し、筆者に答えを求めます。

 Kくんは、生きることや働くことの意味など、幅広い、ある面で青年らしい質問をしてきます。筆者の答えをメモして、読み返しているようです。

 先日ですが、「新しい仕事が増えて、ミスすることがあります。社会人として自覚しなくてはいけませんよね。職場で必要な知識とスキルを身につけなければいけません」と会うなり話します。彼の話ですが、まわりくどい表現が多く、真意がよくわからなかったりします。彼の「社会人としての自覚」の話ですが、何か言いたいことがありそうなので黙って聞いていました。

 すると、「社会人として笑われないようにしないといけません」と話します。「新しい仕事が増えて、ミスすることが増えた。ミスすると皆から笑われる。笑われるのは社会人として失格、だからミスしないようにしなくてはいけない」というのが言いたいことのようでした。

 

☆笑われることの意味

 ただ、話を聞き続けていると、「ミスする=怒られる、注意を受ける」という場面はないようです。そこで、ミスしたことを笑われるのは、「かわいがられている」「職場の人気者ということだよ」と話した途端、彼は「課長から人気者と言われました」と話しました。

 子どもが、人から笑われると怒るようになるのは3歳頃からです。それまでは、「笑われる=受容されている」と感じていたのでしょう。笑われて怒るようになるのは、「笑われる=バカにされている」ということがわかってきたからです。

 ただそのあと、笑いのいろいろな役割や意味を経験していきます。「笑われる=バカにされている」だけではなく、お笑い芸人もそうですが「笑われる=人気者」という意味にも気づいてきます。Kくんは、職場の人から「バカにされている」とは思えなかったようです。ただ、その思いをどう表現していいのかが分かりませんでした。

 そして「ミスすると皆から笑われる。笑われるのは社会人として失格だから、ミスしないようにしなくてはいけない」という話になってしまいました。彼の本心とは、ずれた内容になってしまいます。

 

☆勘違いをただす友だち

 本来ならば、「笑われるってことは、人気者いうことだよ」と言ってもらえれば、Kくんの葛藤は生まれなかったでしょう。こういう意見を言うのは、友だちの重要な役割でもあります。しかし、自閉的なKくんには友だちがいません。そのために、ときとして奇妙な結論に行きついてしまったりします。このような勘違いは、知的障害のある人にもあります。

 私たちと同じような悩みを持つKくん、しかしそれを的確に表現できません。関わる者には、それに気づき、修正する役割が求められます。


                                                   発達教育7月号より



2016年6月21日(火)
発達協会王子クリニック院長の石崎が、第117回日本小児精神神経学会の大会長をします。

開催は来年2017年6月3日(土)、4日(日)、

場所は東京医科歯科大学(東京都文京区)です。

当HPにも順次、情報をアップするので、よろしくお願いいたします。







2016年6月3日(金)
事務局通信6月号

☆ダイアログ・イン・ザ・ダーク

「暗闇の中の対話」という活動に参加された方もおられることと思います。この活動の目的と内容を本から引用します。「参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、さまざまなシーンを体験します。その過程で、視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、そしてコミュニケーションの大切さ、人のあたたかさを思い出します」。

「世界39ヵ国、130都市以上で開催され、2015年現在で800万人を越える人が体験した」とあります。日本でも東京・外苑前と、大阪・梅田でこのプロジェクトを開催しているそうです。(『DIALOG IN THE DARK―暗闇の中の対話―みるということ』小学館)

 

☆80%視覚情報に依存する人間

 人間には、触覚、嗅覚、聴覚、味覚などの感覚が備わっていますが、もっとも頼りにしている感覚は視覚とされます。入ってくる刺激のうち、80%は視覚情報であり、それをもとに行動しているといいます。視覚情報優位ですが、生まれてから1歳半ばころまでには、大人と同じような処理システムとなるとされます。

視覚情報は、遠距離受容器(感覚器)とも言います。遠くの刺激を認知し、その意味などを考えることができます。危険な人、物、事態などに備えるのには、視覚は有効でもあります。

聴覚も嗅覚も遠距離受容器です。ただ遠距離受容器の中でも視覚は、聴覚の何百倍もの刺激情報を受け止めているともされます。

 

☆視覚を奪われた世界

 視覚情報が絶たれてしまうと、聴覚や嗅覚が鋭くなってきます。暗いところで寝ていると、音に敏感になります。音がすると、音源の位置、距離などイメージしたりします。

 嗅覚は、過去のさまざまなにおいの記憶を呼び覚まします。火事にあうと、物が焼けるにおいに過敏になるといいます。焼けるにおいにより嗅覚が働くと、火事の様子をまざまざと思い出すとも言います。

 視覚を奪われたときに、人間が頼るのは触覚です。味覚も含めてこれらの感覚を「近接受容器」と呼びます。ダイアログ・イン・ザ・ダークの体験者は、嗅覚などとともに触覚による新たな体験を実感するようです。たとえば親子での体験ですが互いに手をつなぎ、暗闇を動きます。そのことで親子の絆が深まった、何年たっても忘れないとの感想が寄せられています。

 

☆複数の障害のある子ども

 視覚障害に知的障害、さらには自閉性の障害を併せ持つ子どもたちがいます。子どもの感覚世界を知るために、視覚を遮断しての移動体験をしたことがあります。とても心もとなく、歩くのが恐怖でした。また、何が起こるかわからないという怖さが付きまといました。このときのアテンドの手のあたたかさは、救いとも感じるほどのものでした。視覚を遮断することにより、子どもの世界を疑似体験できるように思います。


                                                   発達教育6月号より


2016年5月24日(火)
発達協会の療育室

発達協会には4つの療育室があります(くわしくはこちら)。

その中から、今回は神谷療育室をご紹介。



外観はこちら。住宅街の中にあるので、はじめていらっしゃる方には少々わかりにくく、

ご不便をおかけしています。



玄関。こちらでスリッパに履き替えていただきます。

事務室は2階です。ちなみに、右側の扉の向こうは、



関連法人である社会福祉法人さざんかの会の就労継続支援B型の

事業所になっています。もともとは一つの法人として活動していたこともあり、

利用者さんの中には療育OBの方も複数いらっしゃいます。

今でも調理作業や紙作業グループは、こちらのスペースをお借りしています。



3階の療育スペースです。完成後、もうすぐ30年になりますが、

定期的にメンテナンスはしており、



去年の工事で床はピカピカです。



2016年5月6日(金)
事務局通信 5月号

☆フランスの専門家との話

 先日、ある方の依頼でフランス人のご夫婦と話をする機会がありました。このご夫婦には、障害のある20歳を超えたお嬢さんがいます。
 お父さんは特別支援教育の専門家で、大学でその分野を教えています。お母さんは、小児ガンの専門医で小児科医です。ご夫婦ですが、日本から招へいされ、フランスの現状を報告されるために来日されました。

 日本の教育、福祉、医療などについて知りたいということで、早稲田大学の坂爪一幸教授、東京地検で知的障害のある人の社会復帰を進めている松友了さん、それに筆者の三名で対応することになりました。

 

☆戦いという母の話

 まず驚いたのは、生まれてすぐに障害が分かりながら、リハビリ施設にたどり着くまでの話です。拒絶され、拒否されながらもお母さんは専門家相手に、説得を続けたそうです。お母さんは、「常に戦いであったし、これからもそう」と話されました。

 この話を聞きながら、日本のご両親が中心となり、1970年代に制度改革につながった「すべての子どもに教育を」の運動を思い出しました。運動の結果、現在は全国に700を超える特別支援学校が設立され、12万人余の子どもたちが学んでいます。40年前は、障害のために学校に行けなかった子たちがいました。

 フランスは、障害のある子どもに対して教育などの先進国と、これは勝手な思い込みでした。たとえば、自閉症の子どもへの教育が行われるようになったのは2000年代になってからとの話でした。

 2005年に特別支援教育に関する法律が改正され、日本でいう「ノーマライゼーション教育」になったそうですが、教師の意識が変わらず、大きな変化はないとのことでした。

 

☆「区別」と制度

 お母さんの戦いの相手は、社会の仕組みにありました。お嬢さんは、難聴に知的障害などが重なっていることで、学校などでは「対象外」とされたそうです。

 教育などの制度は、対象を厳密に定義し、そして受け入れを決めます。それがあまりにも厳密だと、「区別=門前払い」となります。

 

☆「ビネー」テストと拒否

 心理学を勉強する者にとり、ビネー式知能検査は、子どもを評価する方法として重要なテストと教わります。このビネー式知能検査は、1905年にフランスで作られました。検査の目的は、学校に入れても学業が身につかない子どもを選別するためとされています。つまりは、障害のある子どもを排斥するためのテストでした。

 お母さんに、ビネー式が現在もフランスで使われているかと聞きました。答えは、唾棄するかのような表情で、「あるけれど、私は拒否する」でした。現在、知的障害の診断では「知能検査の数値は参考値」とされるようになりました。
 なお、日本で使われているビネー式ですが、100年以上も前の、選別目的の評価法の使用に疑問を感じている専門家も多数います。


                                                   発達教育5月号より



2016年4月19日(火)
発達教育 号外2016 ができました。



夏と秋に開催予定のセミナーや関連書籍のご案内に加え、

青山学院大学教授、小児科医・児童精神科医である古荘純一先生の

インタビューも掲載しています。

月刊発達教育をご購読いただいている方へは、

今月末発送の5月号に同封いたします。

ご希望の方へは無料でお送りしますので、

こちらのフォームに「発達教育 号外 希望」と明記していただき、

お申し込みください。

よろしくお願いいたします。



2016年4月12日(火)
事務局通信 4月号

☆4ヵ月の赤ちゃん

 あるご縁で、ダウン症の生後4ヵ月の赤ちゃんと会いました。今から40年前に、1歳7ヵ月のダウン症のある赤ちゃんと会ったことがあります。まだ首が据わりきれていない、本当の赤ちゃんは初めてです。

 立て抱きに抱っこさせてもらいましたが、喜んでくれました。その子はぼくと目を合わせ追視もします。併発病もなく退院でき、健やかに育つことを予感させます。ご両親には、今後の姿を予想も含めて話をし、またさまざまな質問にも答えました。少しは役立てたかな、と思えた時間でした。

 

☆障害観の変化

 40年前ですが、生まれて以来家から一歩も出してもらえず、歩けない4歳のダウン症のお子さんと会ったことがあります。

 この「発達教育」は、創刊35年になります。「子育て日記」では、創刊時から子どもの写真を掲載しています。写真掲載にあたっては、医学書のように目を黒い線で隠すことはやめました。保護者の方々には、当時は大変に勇気が必要だったかと思います。

 若いご両親と話しながら、ダウン症の書家や俳優、ダンサーなどの話が出ました。そうやって活躍する人がいることが、子どもを育てる親には大きな励みとなっています。育ててこられた方々に敬意を表します。

☆情報量の多さ

 今回、驚いたのはご両親の持っている情報の多さです。障害告知の衝撃を受けたあとに、うつ状態が続いたとの話を、あるお母さんから聞いたことがあります。

 不安な点があれば、ネットで手軽に調べることができます。実際の子どもの姿は、ユーチューブで見ることもできます。ネットには、先輩の子育ての体験記が幾つもあります。ダウン症の子のリアルな子育てが、マンガにもなっています。

 情報があることで、ショックをはね返す力も湧いてくるのでしょう。

 

☆専門職による支援システム

 出産後には、ダウン症ということで小児科医からの説明があったそうです。公的機関からもフォローを受けられ、心強く思っているそうです。

 昔は、「早期発見、早期ほったらかし」といわれるほどに、障害のある子や家族へのサポートシステムは十分ではありませんでした。

 ところがいまは、まだまだ十分ではないのかもしれませんが、対応システムができているようで、進歩したなと思わされました。

 

☆若き伴走者を紹介

 悲観的ではない、前向きのご両親と暖かい家族、これこそが最高の「リハビリ環境」だと話しました。ふつうの赤ちゃんと同じように、接していいとも伝えました。

 子育ては短距離走ではなく、マラソンに似ています。子どもには個性もあり、一人として同じ子はいません。子どもによる違いを踏まえて、関わっていく必要があります。この赤ちゃんには、これから若いセラピストに関わってもらうことしました。


                                                    発達教育4月号より



2016年4月5日(火)
辞令交付式を行いました。



先週4月1日(金)に、公益社団法人発達協会、社会福祉法人さざんかの会、合同で、

辞令交付式を行いました。総勢88名の職員が全員集まる、年1回の機会です。

気持ちを新たに、2016年度も頑張ってまいりますので、

よろしくお願いいたします。



「月刊 発達教育」の年間購読を受付中です。

当協会が発行する月刊誌、発達教育の年間購読を受付中です。

すでに発行されている号の詳しい内容や、お申し込みの手続きなどは、

こちらをご覧願います。

今年度の新連載は2本!

●『行動の問題』の理解とその対応-SSTの視点から:三島節子(LD発達相談センターかながわ)
 事例を豊富に交えながら、『行動の問題』への対応について具体的にお伝えします。

●注意の働きのメカニズムと発達支援:今井正司(名古屋学芸大学)
 発達障害のある子を理解するためには、その子の認知特性を理解することが欠かせません。
 この連載では認知機能のひとつである「注意」を取り上げ、その働きや注意に未熟さや偏りのある子への
 支援について考えます。

月刊発達教育は、子どもの療育担当者が編集。

現場の目線で、実践に役立つ雑誌を目指しています!



メールマガジンを発行しています。

発達協会では、2種類のメールマガジンを発行しています。

●「発達障害と子育てのQ&A」
発達につまずきをもつ子どもの子育てにまつわるお悩みに、療育や医療の専門職員がお答えしていきます。購読料は無料です。お申し込みはこちらから(このメールマガジンの発行は、『まぐまぐ!』のシステムを利用しています)。

●「発達協会NEWS」
主に公開研修会の最新情報をお伝えしています。購読料は無料です。お申し込みはkenshu3@hattatsu.or.jpに、「発達協会NEWS」希望と書いたメールを送ってください。



小児科医がつくった絵本

発達協会王子クリニックに勤務する竹内紀子医師が、子どもの心のケアをテーマにした絵本「かばくんとだいちゃんシリーズ」を続々、刊行しています!
いずれも読んだあと、やさしい気持ちになれる絵本です。子育て中のお母さん、お子さんにお勧めします。
お申し込みは下記サイトから。
http://www.vividlady.com/books/daicyan.html

※電子書籍は下記のサイトから

●紀伊国屋書店kinoppy
https://www.kinokuniya.co.jp/

●楽天ブックス
http://books.rakuten.co.jp/e-book/













ジェムコ出版制作のビデオを、DVDに書き換えられます。

以前、当協会ホームページで販売していたジェムコ出版制作のビデオ、「知的障害児・者の身辺自立」、「落ち着きのない子どもたち」、「もっとたのしく、もっとゆたかに」(3種とも、現在、メディアパークより販売しているビデオ・DVDと同一のものです)を、1巻につき10,500円(税込み)でDVDに書き換えることができます。詳細は、下記にお問い合わせ下さい。

●お問合せ先:株式会社 新宿スタジオ 東京都渋谷区代々木2-18-5 昭和ビル3階
          TEL.03-3379-1415  FAX.03-3379-1480