発達協会からのお知らせを掲載するページです

2017年6月30日(金)
事務局通信6月号

☆発達障害と過剰診断

 最近、いろいろなところで「発達障害がある」とされる幼児や学童に出会います。多くは、2、3歳ころにADHDや知的障害の診断名が付いています。その子たちですが年齢があがるにつれ、成長、変化してきます。実際に、「発達障害がある」とされる子と会ってみると、とてもそうは思えないことが続いています。つまりは、成長してノーマル範囲になっており、発達障害の診断は「誤診だった」といえます。

 日本では、発達障害も含めて精神障害の診断において、「アメリカ精神医学会」の「DSM‐5」が使われています。この診断法が、過剰診断、過剰治療につながっていると、米国内の精神科医も批判しています。

過剰診断の理由として、2点が挙げられています。一つは、「正常の偏奇に入るものを病理として疾患として治療の対象とすること」、つまりは正常の範囲の偏りなのに、病気の範疇とすることです。

2点目は、「可能な限り早期に疾患を同定して治療しようという期待がある」(*1)ことです。このために、1、2歳で、発達障害の診断名が付きやすい土壌ができてしまっています。

 

☆思い込む保護者

 早期診断で、助かる保護者もいます。そのための、診断でもあります。ただ一方で、成長途上にある子どもたちを、主観的な基準で判断していいのかという疑問はついて回ります。

成長して正常範囲に入った子に対しても、保護者は診断名にとらわれて、「発達障害だから~した」と捉えてしまうことがあります。

 

☆本人にも重い足かせに

 一般的には、発達障害のある子は、自分の障害を認めていないことが多いようです。そのために、自分のことをまわりに説明しようとしなかったりします。まわりの配慮が必要とされるのは、本人が自分の不自由さを訴えないからでもあります。

 ところが、発達障害がないのに、あると思わされている子は、青年になると自分の将来などについて不安を持ち、思い悩んでしまいます。

 

☆慎重な配慮と診断

 日本発障害学会前会長で、小児科医の原仁先生の文章を紹介します。「5歳未満の知的障害の医学診断はみなし診断として慎重におこなわれるべきであろう。(中略)乳幼児期の知能検査の結果はその時期の状態を反映しているに過ぎないことを再確認すべきである。学童期に急速に知的能力が伸びてIQ値が正常化する例もある」(*2)と述べています。これは乳幼児期の可塑性の大きさへの指摘です。

 また子どものなかに必ずいる、「大器晩成」型、スロースターターへの着目が必要ということでしょう。子どもの多様性を認めるのは、大人の柔軟で多様な視点だと思います。

 

*1 J・パリス『現代精神医学を迷路に追い込んだ過剰診断;人生のあらゆる不幸に診断名をつけるDSMの罪』星和書店 2017年

*2 原仁「わが国の発達障害医療の現状」『発達障害白書2017年版』明石書店 2016年


発達教育6月号より



2017年5月24日(火)
事務局通信5月号

☆ファミリーサポート事業

 初めて、このことばを聞かれる方もいるかもしれません。厚生労働省の説明を紹介します。

『ファミリー・サポート・センター事業は、乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦等を会員として、児童の預かりの援助を受けることを希望する者と当該援助を行うことを希望する者との相互援助活動に関する連絡、調整を行うものです。平成27年度からは、「地域子ども子育て支援事業」として実施します』。「当該援助を行うもの」を「サポーター」と呼びます。

 

☆三世代同居の減少も背景に

 ファミリーサポート事業は、育児などのちょっとしたお手伝いというイメージです。事業者は、誰かの手を借りたい家族と、それを支援するサポーターを結びつけます。

 三世代同居の率は、都道府県によって差があります。多いところは三割前後から、東京のように5%という地域もあります。三世代同居では、育児の際に祖父母の協力が得られやすいとされます。しかし、親子のみで暮らしている場合には、そうはいきません。また最近では親戚づき合いも希薄です。「ヒューマンネットワーク」が弱くなっていると指摘されています。このために、子育てで必要なときに、人の手を借りることが難しくなっています。ときには、誰かの手を借りなければ、生活そのものが成立しない可能性さえあるでしょう。

 

☆孤立する家族

 三世代同居だけではなく、「公園デビュー」のことばが聞かれなくなるほどに、外に出ていかない母親の話を聞くようになりました。「育児が孤立している」との指摘を聞きます。孤立は、切実で、哀しい現実を表しています。仕事で、いろいろなお母さんに会います。そのときに、「ママ会」と「ファミリーサポートの利用」をすすめます。二つとも、育児情報や地域のことを知るのに有効だからです。

 

☆発達に問題のある子も対象

 ファミリーサポート事業では、障害のある子や、不適応の子どもたちも家族支援の対象としています。そういう子たちこそ、親だけでは育児困難が生まれやすいとも言えます。サポーターの方々は、育児経験のある人が多く、心強い味方になって貰えることも多いでしょう。

なおサポート事業では、障害のある子どもをテーマとした研修なども開かれています。具体的な質問に対して、問題解決型をめざす研修スタイルです。

 なお、先日お会いしたサポーターの方は、自閉症の子どものお母さんでした。自分の経験を、同じような子を持つ親の役に立てたいと話されました。実は、こういうサポーターが少なくないとの話も聞きました。こういった結びつきが強まれば、子育ての苦労も軽減すると感じます。


発達教育5月号より



2017年5月24日(火)
事務局通信4月号

☆中国寧夏、銀川市で

 昨年の秋、中国の寧夏にある銀川市のリハビリセンターに来てほしいという依頼がありました。目的は、日本の療育技術を、中国に移転することです。寧夏自治区の外国人専門家を招請する部局からの依頼です。

 銀川市は、北京から飛行機で2時間ほど西に向かったところにあります。人口200万人、シルクロードや万里の長城があることでも有名です。

 銀川の特徴は、回族という漢族とは違う民族が住むことです。回族の多くはイスラム教徒でもあります。このために、街中にはモスクが見られます。

 

☆見ないと真実の姿はわからない

テレビなどでイメージする自転車通勤の姿とは違い、中国の主な交通手段は車になっていました。車社会です。さらに銀川では建設中の建物がいたるところにあります。これも来なければわからないことでした。

遅れているとの認識の間違い

療育技術ですが、最新のアメリカなどのやり方を導入し、評価や指導システムができていました。また、香港から専門家チームが定期的に指導に来ていると聞きました。但し、先生たちがとても若いのです。リハビリセンターで働くスタッフのうち、8割が20代ということでした。

経験が浅いので、どのリハビリ目標が重要か、優先順位に悩んでいるようでした。また、子どもの将来の姿も含めて、先の見通しがききにくいのが難点です。今回は職員2人で訪問しました。経験者として、筆者たちが呼ばれた理由はそこにありました。講義だけではありません。実際にことばの出ていない子どもの指導や、保護者との面談を行いました。若い専門家は、必死に学んでいました。実技を見ることで、本質を体得する専門家が生まれ、そして日本を凌駕する日が来るかもしれません。

 

抗日戦争ドラマと反日感情

中国政府も、行き過ぎた反日ドラマを批判するようになりました。抗日戦争ドラマを見て、日本人の話を聞きたいと思う人がいるのかと危惧していました。しかし結果は大違いで、専門家だけでなく、家族までもが熱心に質問し、話し合いをすることができました。満足して貰えたかどうかはよくわかりませんが、ある効果はあったかと思っています。

 

子どもの姿、親の思いは日本と変わらない

親や子どもと接していて、中国人は日本人に近い感性と思いました。子どもを可愛がっている親御さんも多く、熱心な若い人たちの思いに、国を越えて共感を持ちました。

 

 このほかにも、発達障害の診断には慎重な医師(日本は安易過ぎるのかもしれません)のことや、若い人が、仕事上での大きな権限を任されている姿に驚きました。

実は40年前に中国を訪れたことがあります。今回の訪問で中国の経済発展に驚嘆しました。なお、本プロジェクトは3年間に延長され、中国の専門家が来日し、療育や福祉制度の勉強をする予定となりました。


発達教育4月号より




2017年5月24日(火)
発達教育 号外2017 ができました。



夏と秋に開催予定のセミナーや関連書籍のご案内に加え、

上智大学教授である大塚晃先生のインタビューも掲載しています。

ご希望の方へは無料でお送りしますので、

こちらのフォームに「発達教育 号外 希望」と明記していただき、

お申し込みください。よろしくお願いいたします。



「月刊 発達教育」の年間購読を受付中です。

当協会が発行する月刊誌、発達教育の年間購読を受付中です。

すでに発行されている号の詳しい内容や、お申し込みの手続きなどは、

こちらをご覧願います。

今年度の新連載は4本!

●「行動の問題」への理解とその対応:井澤信三(兵庫教育大学大学院)

●基礎から学ぶ<感覚・運動の問題>:岩永竜一郎(長崎大学大学院)

●不器用な子への発達支援-運動や遊びからのアプローチ-:増田貴人(弘前大学)

●ICTの活用術:小川修史(兵庫教育大学大学院)

月刊発達教育は、子どもの療育担当者が編集。

現場の目線で、実践に役立つ雑誌を目指しています!



メールマガジンを発行しています。

発達協会では、2種類のメールマガジンを発行しています。

●「発達障害と子育てのQ&A」
発達につまずきをもつ子どもの子育てにまつわるお悩みに、療育や医療の専門職員がお答えしていきます。購読料は無料です。お申し込みはこちらから(このメールマガジンの発行は、『まぐまぐ!』のシステムを利用しています)。

●「発達協会NEWS」
主に公開研修会の最新情報をお伝えしています。購読料は無料です。お申し込みはkenshu3@hattatsu.or.jpに、「発達協会NEWS」希望と書いたメールを送ってください。



小児科医がつくった絵本

発達協会王子クリニックに勤務する竹内紀子医師が、子どもの心のケアをテーマにした絵本「かばくんとだいちゃんシリーズ」を続々、刊行しています!
いずれも読んだあと、やさしい気持ちになれる絵本です。子育て中のお母さん、お子さんにお勧めします。
お申し込みは下記サイトから。
http://www.vividlady.com/books/daicyan.html

※電子書籍は下記のサイトから

●紀伊国屋書店kinoppy
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