最近行われた研究について紹介します。
研究の詳細については、今後も紹介していく予定です。

「わがまま」からみた社会性の発達(日本発達心理学会 2001年)
 
幼児期の「わがまま」といわれる行動に焦点を当て、社会性の発達段階を明らかにした研究。1歳〜6歳の幼児300名の行動を調査。

知的障害者の「自己決定」に関する研究−本人、保護者への面接・意識調査を通して
  
(「がんばれNPO!」プロジェクト助成事業 2000年)

本人(26人)と家族(299人)を対象にした、「自己決定」についての意識や、具体的な援助方法の提案についての研究(本人向パンフレットも作成)。

知的障害をもつ人の意思尊重・自己決定に関する調査(日本社会福祉学会 2001年)
知的障害児・者における意思尊重・自己決定の現状と今後の課題
   (日本福祉教育専門学校研究紀要 2000年)

 

今まで行った主な研究・調査について紹介します。


安田生命社会事業団による助成を受けて実施された研究事業
1996年
パソコンを使った発達障害児への認知発達の促進に関する研究
―CD−ROMソフトによる指導の適用下限年齢と諸能力との関係
1993年
精神発達障害児に対する身辺自立指導の研究
―発達評価的到達段階表の作成
1991年
精神発達障害児における就労自立を目的とした療育指導のあり方について
―就労状況と保護者の意識調査を中心に
1989年
障害児保育の問題点と今後の展望(第3報)
―協同体制のあり方を等を中心に
1988年
障害児保育と今後の展望(第2報)
―親の目からみた統合保育等について
1987年
障害児保育と今後の展望に関する一考察(第1報)
―障害児受け入れ保育園での諸問題を中心に
1986年
自閉症児の絵と行動(共同研究)
1983年
精神発達障害児をもつ親の療育態度調査
1979年
障害(幼)児の指導に関する実践的研究
−「くらしの中での指導」の試みを通して
社会福祉・医療事業団による助成を受けて実施された研究事業
1994年
すこやかのびのび子育て教室開催事業
1993年
精神発達障害児者の地域生活支援を目的とする健康管理事業

 

■ 医学の研究

今までに王子クリニックでも多くの研究を行ってきました。
発達につまずきをもつ子どもや人たちの睡眠障害や行動障害への薬の有用性について、また発達障害児のもつお母さんのメンタルヘルスについての調査・研究についての論文の要旨を紹介します。
ほかの研究についても、今後紹介していく予定です。


「発達障害の睡眠障害、情緒・行動障害に対するmelatoninの有用性について
−発達障害50例に対するmelatoninの治療の経験」

「脳と発達」1999:31;428−437より

 石崎 朝世・洲鎌 倫子・竹内 紀子    (社)発達協会王子クリニック
●要 旨

 睡眠障害を有する発達障害児・者50例(3歳から28歳、男41、女9、自閉性障害27、精神遅滞20、重症心身障害3)の睡眠障害、情緒・行動障害に対して、melatoninの効果と副作用を調査し、その有用性を検討した。睡眠障害の内訳は、不眠症44例、概日リズム睡眠障害6例であったが、melatonin就寝前服用により、それぞれ39例、3例が改善し、服薬継続で効果が減弱した例があった。情緒・行動障害改善例は、全て睡眠障害改善例であり、易興奮性が約3分の2で改善した。こだわり、常同行動、登校拒否・通所拒否はほとんどの例で変化がなかった。Melatonin就寝前服用は42/50例の睡眠障害に有効であり、副作用は17/50例に認めたが危険なものはなかった。効果には、睡眠障害の病態、環境要因、心理的要因が影響した。副作用などを考慮し、34/50例に有用とした。

 


「療育機関に通う発達障害児を持つ母親のメンタルへルス」

「小児保健研究」第59巻 第1号 2000;89−95より

竹内 紀子    (社)発達協会王子クリニック
●要 旨

 療育機関に通っている障害児を持つ母親、178人を対象に主観的健康状態や社会的支援の度合いを把握するため、THI(the Todai health Index)を中心とする自記式質問紙調査を行った。一般女性と比較して、障害児の母親では、「抑うつ性」と「生活不規則性」の尺度得点が全年齢を通じて高い傾向にあった。また、障害児の母親達の中で、家族の協力や夫の支援が「とてもある」と答えた群に比べ、「少ない」あるいは「全くない」と答えた群では「抑うつ性」と「生活不規則性」が有意に高かった。児の障害を「母親のせい」と言われた群や「自分のせい」と思っている群は、そうでない群に比べて「抑うつ性」が高い傾向を認めた。療育の担い手とされる母親のみに身体的および精神的負担が集中しないよう、家族や地域・学校、医療機関等が個々の障害に対する正しい理解を深め、各機関が連携することが必要と考えられた。