運動指導の進め方

運動の目的

私たちは、子どもたちが大人になった時に、健やかに日々を過ごしてもらいたいと願っています。
  そのためには、小さい頃から自分の体と上手につきあっていくことが必要です。 運動の意義は、体力づくり、健康の維持だけではありません。目的に合わせて体を動かすことで、自分の動きを知り、動きを調整することになります。

 また運動を通して、人に合わせて動くことを学びます。大人と一緒に行なうときに、スキンシップなどコミュニケーションが生まれます。見本を見て姿勢をつくったり、動いたりすることで、人に目を向けるようになります。  子どもたち何人かで行なうことで、「友達より上手に」、「相手より速く」などの競争意識が芽生えます。ペアやグループで運動することで、協同意識を持てるようにもなるでしょう。  ご家庭でもできる運動と、そのポイントを紹介していきたいと思います。  

■月刊 発達教育より 倉持 親優(発達協会)言語聴覚士

■なわとびの基本、「連続とび(前とび)」の練習方法

 今回はなわとびの基本、「連続とび(前とび)」ができるようになるための練習方法を、細かいステップに分けてご紹介します。なわとびは、大人になってからも体力づくりとして取り組めるお勧めの運動のひとつです。



敏捷性を高める運動

起き上がり、ジャンプステップ、とびこしくぐり、ぴんとり

道具をつかった運動

■道具を使っての運動:番外編

■筒(ラップなどの芯)を使っての運動

■新聞紙を使っての運動

■電話帳を使っての運動

●競争心

■競争心を育てる−椅子とり、ピンとり、中ぶつけ

●注意点

■ 介助の仕方と注意点(運動指導を始める前に)−歩く・クルクルポン

●柔軟性

■背面の柔軟性を高める四種の前屈

■柔軟性を高める運動−カタツムリ・しゃがみ立ち・うしろそり

●バランス(平衡性)

■平衡性を高める運動−平均台渡り・片足屈伸・大ライオン・ろうそく

■バランスの力をはぐくむ運動−片足立ち・ツル・グライダー

●筋力

■目標を決めてレベルアップを目指す−ゆりかご・ブリッジほか

■腕の力を強くする運動−オットセイ・手押し車・ぶらさがり

筋力を高める運動−ふっきん・トンネル・スクワット

■筋持久力を高める運動−ワイパー・姿勢変換ほか

●協応力

手足を協調させて動かす運動

物を利用してからだの動きを高める−縄とび・ボール

■ボディイメージを高める−ライオン・イスくぐり・後ろ歩き

物との協応力を高める−ボール投受・ボールつき

●リラックス

■心身をリラックスさせる運動について
       −背中たたき・ひねり・あぐらそり・ガリバー

●やりとりする力・意欲

■ やりとりの力を高める運動−スクワット・トンネル・ダンスほか

自分でやろうとする意欲がでてきた子どもへの運動指導

 


■なわとびの基本、「連続とび(前とび)」の練習方法

 なわとびは、遊びから発展したり、学校で授業に組み込まれていたりと一般的なものです。けれども私たちが接している子どもたちの中には、やろうとしても上手くいなかったり、なわとび自体に興味を持たなかったりする場合があります。「なわとびを持たせてもやろうとしないので・・・」という親御さんの話もよく聞きます。それならば、興味を持つような働きかけをしましょう。急に縄を持たせても、どう動かせばよいのかわからない子どもたちには、まずジャンプから。目標を細かく設定して、できた喜びを味わわせていきましょう。レベルを設けることで、いきなり縄を持たされて戸惑っていた子どもたちも、前向きな気持ちを持てるようです。
 それでは、連続とびまでの練習方法をレベルに分けて紹介します。

@ 両足ジャンプ
両足をそろえてジャンプすることを教えます。足をそろえないままジャンプをするくせがつくと、後で苦労することになります。その場とびができたら、電話帳からのとびおりやとびのりも練習します。

A ジャンプステップ
電話帳へのとびのり、とびおりを繰り返します。20秒間に20回できることが目標です。

B 棒転がし
棒を数本用意します。棒は転がれば何でもよいのですが、家庭にあるものを利用する
ならば、ラップのしんなどがあります。板をななめに立てかけて、その上から棒を一本ずつ転がしていきます。子どもは、転がってきた棒をよく見て、タイミングを合わせてとび越します(図1)。板の傾斜を緩くすれば棒はゆっくり転がり、きつくすればスピードアップしますから、大人は子どものジャンプ力にあわせて調節できます。
 上手くタイミングをはかれない子どもの手をとって介助することもできますから、大縄とびをする前に練習しておくとよいでしょう。タイミングを自分ではかれるようになったら数本の棒を連続して転がして連続ジャンプを練習します。



C 棒回し
大人が棒を持って、なわとびのように子どもの頭上から棒を下ろしていき、足もとで
ジャンプさせ、背中側を通ってまた前に回すやり方です(図2)。自分の目の前を縄が通ると恐がる子どもには、ゆっくり大人が回してあげることで恐さを取り除くことができます。



D 大縄とび
B、Cで子どもたちは連続ジャンプのタイミングをはかれるようになっているはずです。ここでは回数を増やしていきます。足をそろえて続けて跳べる回数を測定しましょう。連続に20回を目標にできるといいですね。なかなか縄に注意を向け続けられない場合、私たちは、縄の代わりにホースを使います。縄より太く、地面についたときに大きな音が出るので、「とばなければ」という雰囲気が出るようです。

E 1回とび
いよいよ自分で縄を持ってとびます。縄回しははじめてなので、ゆっくりでもかまいません。大人や友達の模倣をして、回してとぶルールがわかればよいでしょう。

F 大縄大作戦
  縄をゆっくり回せても連続してとべるようになるまでに少々時間のかかる人がいます。そのような時には、手首で縄を回す練習が必要です。大縄大作戦とは、大縄に短縄をつけて、大人が大縄の端を、子どもが短縄を持ちます。大人が大縄を回すことでそれについている短縄が自動的に回るので、子どもの手首もそれに合わせて動くというわけです(図3)。大縄に短縄をつけるときは、ジャバラを通すと、縄同士がからまずにすみます(図4)
 大縄大作戦で手首を回すことがわかっても、大人の介助がなくなってしまうと、自分でどう動かしてよいのかわからなくなってしまう場合があります。私たちのところに通ってきているM君は、大作戦では楽しそうに回せていたのですが、短縄だけになってしまうジャンプもしなくなってしまいました。そんな時に、大作戦のようにジャバラに細いひもをつけて大人が持ち、はじめだけ一緒に縄を回してあげました。すると、その後は続けて一人でとぶことができました。動きはつかんでいても、最初の1歩が踏み出せなかったようです。私たちはこの作戦を小作戦とよんでいます。
 このように自分で縄を持ち、連続して2回とべるようになったら、リズムがつかみかけてきたところです。タイミングを忘れないように毎日練習していくことで、少しずつとべる回数が増えていきます。励ましながら取り組んでみてください。

 

 

 

 

■月刊 発達教育より