職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第10回
「発達障害の子に「ちゃんと伝わる」言葉がけ―
 日常生活の「できる」を増やす伝え方のルール」
佐々木正美 著/すばる舎/定価 本体1400円+税

公益社団法人発達協会 療育部 染谷里沙(児童指導員)

日頃、発達障害のお子さんと関わる際に「全く話を聞いてくれない…。」「やってほしいことをやってくれない…。」「自分勝手で大変…。」などと困ってはいませんか?発達障害のお子さんと関わる大人に向けた、「伝わった!」と実感できる関わり方へのアドバイスが、本書には満載です。

生活の中で困りがちな場面をイメージしてみてください。例えば、「支度」や「トイレ」「待ち時間」「移動」「コミュニケーション」などが浮かぶでしょうか。これらは、筆者が発達障害のお子さんの療育をする中で、そのお母さんとよく話題になる場面でもあります。こういった具体的なケースを、本書では多く取り扱い、工夫があって伝わりやすい「OK」な関わりと、工夫がないときの「NG」の関わりがイラストを踏まえて分かりやすく書かれています。それに加えて、発達障害のお子さんをもつ4人のお母さんの実践例もあり、工夫の視点は同じでも、お子さんに合わせて様々な実践の形があることが分かります。

本書の著者は、「子どもへのまなざし(※)」などの著書で有名な、児童精神科医の佐々木正美先生です。「できる範囲でかまいません」といった優しい語り口調で綴られ、安心感を持って読み進めることができます。

さあ、明日はお子さんとどんなことで「できたね!」と関わり合いますか。発達障害のお子さんへ「伝わった!」と思う成功の瞬間を、たくさんの大人へ届けてくれる一冊です。
 
※「子どもへのまなざし」 佐々木正美 著/福音館書店 /1998




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