職員の読書日記 職員の読書日記

このページでは、職員の読書日記を紹介いたします。
発達協会の職員である私たちが、出会った本の感想などを紹介するページです。


第15回
「発達障害とことばの相談-子どもの育ちを支える言語聴覚士のアプローチ-」
中川信子/小学館新書/定価 本体740円+税


公益社団法人 発達協会 王子クリニック 飯田 祐美(言語聴覚士)

著者である中川信子先生は、「子どもの発達支援を考えるSTの会」の代表で、健診、療育、ことばの相談、特別支援教育などにかかわるほか、執筆講演活動も行っている第一級の言語聴覚士です。本書では、子どもを対象にした言語聴覚士の活動と発達障害や何らかの心配がある子どもの「ことば」を育てるくらしを、ていねいに紹介しています。

中川先生は、「規則正しい生活、体を使う楽しい遊びや体験の中でことばをかけてもらい心を通わせること。そんな『ことばのビルを建てる暮らし』が子どもの育ちを促します。」と述べています。この『ことばのビル』とは、本書に出てくる脳のはたらきとことばの発達とを重ね合わせて示した図です。『ことばのビル』から言語面の細かいことに目を向けるだけでなく、発達の全体像を見失わずに毎日の生活を、ひとつずつていねいに積み重ねていくことが大切であると分かります。また、脳の構造と言語との関係の話だけではなく、多方面でご活躍されている中川先生ならではの体験談や子育て中のご家族のエピソードなども書かれています。

タイトルを見ると言語聴覚士のための本のように思われる方もいるかもしれませんが、言語聴覚士として障害のある子をどう捉えて接するのかについて書いてあるだけではありません。親ごさんが本書を手にとり、希望をもって子育てに向き合うきっかけになってほしいという願いも込めて書かれている本なので、保護者の方にもおすすめです。




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